【群馬】阿久津運送（甘楽郡）は、「新型コロナウイルスが蔓延する世の中で、支えてくれる全ての人に感謝を伝えたい」という思いから、ボディーに「ありがとう」「今を支えてくれるあなたへ」というメッセージをプリントしたトラックを走らせている。新井嘉之社長に話を聞いた。

　「もともと、オートボディプリンターを導入する予定だったが、東日本大震災で延期になってしまった」と振り返る同社長。「被災地へ救援物資を運んでいるときに、『頑張れ福島！』と書かれたトラックを見て、メッセージを書くことで『心でも応援できる』と気づき、その後、導入した。現在は別会社でプリント事業の外販も行っており、デザインから請け負っている」という。

　地元警察からの依頼を受け、交通安全や振り込め詐欺防止のメッセージをプリントするなど、地域社会に貢献している同社だが、「今回のコロナで医療従事者はもちろん、様々な職種の人々も大変な状況に遭遇し、みんなそれぞれ解決のために動いている。我々もできることを」と今回のデザインを考えたという。

　「ありがとう」という言葉には、特にこだわりがあると語る同社長。「ゴミ収集を担当しているドライバーが、地域住民からの『回収ありがとう』の張り紙を嬉しそうに見せてくれた」と目を細める。「当たり前のことが当たり前ではなくなったが、感謝の気持ちを、積極的に『ありがとう』の言葉にしていきたい」。

　毎週開いているリーダー会議で今回のプリントを決定し、急遽デザインを作成。「完成までたったの３日」というスピード感だった。「考えたことをすぐ実行できるのは中小ならでは」と微笑む。

　トラックを走らせると、「知り合いから『癒された』『ＳＮＳに投稿したい』『思わず手を振っちゃう』などとたくさんの連絡がきた」と語る新井社長。コンビニで駐車したドライバーも、写真撮影を求められたという。「デザイントラックは周囲への感謝だけでなく、自分たちへの鼓舞にもなる。頑張ろう」と力強く呼びかける。

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