萬運輸（東海林憲彦社長、神奈川県横浜市）では、ボディープリントを施した「デザイントラック」が活躍している。社外向けのサービスメニューとして展開していたボディープリントを社内向けに活用した目的は「安全の見える化」だった。ボディープリントトラックは常に人からの注目を集める存在。「見られている」という緊張感がドライバーの気を引き締める。同社では３年間無事故・無違反のドライバーにボディープリントを施したトラックを与えており、優良なドライバーの証となっている。

　今でこそ、同社の安全運転の象徴となっているデザイントラックだが、活動を始めた当初は抵抗を感じるドライバーも少なくなかった。導入を促進する上で、借りたのが「家族」の力だった。施工第１号車両のドライバーは交通事故の経験者。事故後一念発起し、３年間無事故・無違反を達成した。「大切な家族のために二度と事故は起こさない」。その気持ちを忘れることがないように、ドライバーの子どもの絵をプリントした。納車時には家族揃って記念写真を撮るなど、仕事道具以上の存在となった。「仕事で理不尽なことがあっても、子どもの絵を見て冷静になれた」と、ドライバーからはそんな感謝の声も届いた。

　その後、同社のボディープリントトラックはさらなる広がりを見せる。デザインコンテストの開催など、様々な個人や団体とコラボレーションを重ねている。「人間は誰かのためになるとなれば燃えるもの。自分以外の夢やメッセージを背負って走ることで、使命感が生まれ、安全への意識が高まる」と同社長。

　デザインされたトラックが増えていくことは、同社にとって優良なドライバーが増えている証。華やかなトラックは運送業界のイメージ向上にもつながる。また、コラボレーション相手にとっては作品やメッセージを表現する「動くキャンバス」となる。

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