城北運送 プロのデザインが好評、安全意識の高まりも
【愛媛】大手化学繊維メーカーの荷物を、愛媛を拠点に関西や九州に運ぶ城北運送(久米正信社長、松山市)。四国地域で初めて、トラックのボディープリンターを導入し8年。美大出身の社長のデザインが好評だが、プリントトラックに乗務するドライバーの安全意識にも変化があるという。
同社は1958年にいよかんを運ぶ仕事で運送事業を開始。「祖父が興し、叔父が事業を広げた」と話す社長は3代目。武蔵野美術大学で彫刻を専攻し、卒業後は地元に戻って砥部焼の窯業試験場で働いていたが、叔父の要望もあり家業に入ったという。
運送事業に向き合うかたわら、2016年、エルエーシー(現リコーデジタルペインティング)のトラック用プリンターを導入。「なにか宣伝したくても、ラッピングは大型車で100万円を超えるほど高額。できる運送会社は限られた」(社長)。
そこで、自治体の観光や物産のPRなら着手しやすいと考え、地元テレビ局のイベントに協賛し、自社トラックに初めてプリント。続いて、愛媛国体では市内のアート系専門学校と協力して、県のキャラクター「みきゃん」をデザイン。社長自ら手掛けるデザインが人気で、施工実績は100件を超えた。依頼もコンスタントに入り続けているという。
地元のPRに使う車のため、「ドライバーは特に安全な運転ができる人を選んだが、いまではドライバーの方から『私の車にもやってほしい』と言われることも増えた」と社長。描かれたみきゃんに手を振る子どもや、休憩中のSAで楽しそうに写真を撮る人も多く、「トラックのネガティブなイメージの払拭につながる」と話す。
また、「ドライバーはさらに安全運転、美化に努めるなど意識が高まった。プリント事業の思いがけない効果」(社長)。今後は地域や関係者を一層巻き込んだPR活動を行いたいと意欲的だ。
◎関連リンク→ 城北運送株式会社